特集 周産期における研修医・新人助産師/看護師教育の必修知識 産科編
分娩の管理
産科危機的出血
植木 典和
1
,
牧野 真太郎
1
UEKI Norikazu
1
,
MAKINO Shintaro
1
1順天堂大学浦安病院産婦人科
pp.245-251
発行日 2024年2月10日
Published Date 2024/2/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001452
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はじめに
“Obstetrics is a bloody business” と表されるように,出血は分娩に付随する。分娩後異常出血(postpartum hemorrhage:PPH)は,世界的な妊産婦死亡の主要な原因である。世界保健機関の報告では,毎年約1,400万人の女性がPPHを経験し,世界全体で約7万人の妊産婦が死亡している。米国31.3人/10万出生(2017年),英国6.6人/10万出生(2016年),スウェーデン3.3人/10万出生(2017年)など諸外国の妊産婦死亡率と比較すると,わが国の妊産婦死亡率2.5人/10万出生(2021年)は先進国の中で最も低いといえる。わが国の2010年から2020年の積算データで母体死亡原因の第1位はPPHである。本稿では,産科危機的出血の対応と,止血手技として子宮腔内バルーンタンポナーデと子宮動脈塞栓術について述べる。
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