炎症性腸疾患診療のupdate
Ⅱ 炎症性腸疾患の病因・病態 ②炎症性腸疾患の病態
萩原 裕也
1
,
金井 隆典
1
1慶應義塾大学医学部消化器内科
キーワード:
炎症性腸疾患
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
,
腸内細菌
,
粘膜免疫
Keyword:
炎症性腸疾患
,
潰瘍性大腸炎
,
クローン病
,
腸内細菌
,
粘膜免疫
pp.722-727
発行日 2019年5月25日
Published Date 2019/5/25
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000000788
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
炎症性腸疾患(inflammatory bowel disease;IBD)は若年者に好発し,腹痛や下痢,血便といった腸管症状を主体とした罹患者のQOL を大きく損なう慢性の腸管炎症をきたす疾患群である.IBD はおもに潰瘍性大腸炎(ulcerative colitis;UC),クローン病(Crohn’sdisease;CD)の2 疾患を指し,腸管における慢性かつ再発性の炎症を特徴とする自己免疫性疾患に位置づけられる.成因としては遺伝的要素を基盤とした免疫応答に加えて,環境因子や腸内細菌叢などが複雑に絡み合う多因子疾患である.近年,生物学的製剤や分子標的薬といった新規治療の開発が急速に進み,従来の治療が無効な症例に対しても一定の有効性を示している一方で,依然として治療抵抗性を示し外科的治療を要する症例も多い.本邦においてIBD の罹患者数は増多の一途をたどっており,一般内科医が携わる局面も増えている.もはや決してまれではない疾患としての側面を獲得しつつも,いっそう複雑さを増すIBD について,本稿ではその病因・病態を中心として概説する.
Copyright © 2019, Nihon Medical Centers, Inc. All rights reserved.