特集 多胎児と家族への支援に取り組もう
行政を介した支援の紹介
多胎児家庭支援に関する国と地方自治体の取り組みの課題と展望
市倉 加寿代
1
ICHIKURA Kazuyo
1
1認定NPO法人フローレンス
pp.1300-1302
発行日 2022年9月10日
Published Date 2022/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000327
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
多胎児家庭の支援についての国家予算が計上されたのは,2020年度からのことである。2018年1月に愛知県豊田市で起きた三つ子家庭の虐待死事件を受け,国内で多胎児家庭への社会的援助の必要性の議論が高まったことや,2019年に認定NPO法人フローレンスが行った「多胎児家庭の育児の困りごとアンケート」にて,多胎育児当事者の93.2%が「気持ちがふさぎ込んだり,落ち込こんだり,子どもに対してネガティブな感情をもったことがある」と回答したことが背景にある。これらを受け,国を挙げて多胎児家庭への支援に乗り出そうとしたことは歓迎されるべき流れである。しかし,政策や制度というものの神は細部に宿るといわれており,制度創設意図は素晴らしいが最後の設計が惜しいため住民に届かないという点も多く起きている。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.