特集 地方自治体はどのように地域保健を推進するか
地方自治体と地域保健
多田羅 浩三
1
1大阪大学医学部公衆衛生学
pp.228-231
発行日 1995年4月15日
Published Date 1995/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901232
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はじめに
今日の公衆衛生は,1848年のイギリスの公衆衛生法によって,中央に保健総局(General Board of Health),地方に地方保健局(Local Board of Health)が設置され,各地方保健局に保健医官(Medical Officer of Health)が置かれるという方式が示された時,その体系が定式化されたと思われる1).この法律を起草したエドウィン・チャドウイックは,巧利主義哲学の首唱者であったジェレミー・ベンサムの弟子であり,1834年の改正救貧法成立の立て役者であった.
ベンサムらの理念は,最大多数の最大幸福という有名な言葉によって代表されるように,多数のもののために少数のものが犠牲になることは,社会の巧利性を考えれば仕方のないことであるとする面があり,そのことが彼らの主張する政策を,専制的で,中央集権的なものとしてしまう傾向を生むことになったといえる.
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