特集 知っておくべき周産期・新生児領域の遺伝学的検査を展望する
各論
代謝疾患 先天代謝異常症
松本 志郎
1
,
三渕 浩
2
,
中村 公俊
1
MATSUMOTO Shiro
1
,
MITSUBUCHI Hiroshi
2
,
NAKAMURA Kimitoshi
1
1熊本大学大学院生命科学研究部小児科学講座
2熊本大学大学院生命科学研究部新生児医学寄付講座
pp.721-724
発行日 2022年5月10日
Published Date 2022/5/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000168
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はじめに
先天代謝異常症の診断には,従来から生化学的検査および酵素活性の測定が中心であったが,近年の遺伝子解析技術の向上と臨床への技術応用を背景として,患者由来ゲノムを用いた遺伝子診断の位置づけは高まっている。遺伝子解析技術としては,従来,サンガー法が主流であったが,現在では次世代シーケンサーが主体となっている。遺伝子解析に必要な費用についても,新生児マススクリーニング(NBS)対象疾患を中心として保険適用検査となっている。このように臨床の現場で実施しやすい環境が整っていく一方で,遺伝学的検査の結果の評価,および治療への応用に関しては,少なからず混乱や課題が報告されている。本稿では,とくに周産期領域に重要となる先天代謝異常症の遺伝学的検査として周産期にかかわる医療関係者が知っておくべき基本的知識について総括する。
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