連載 腎臓学100年史
第9回 慢性腎不全(CRF)から慢性腎臓病(CKD)へ:腎臓病学の転換点
小林 修三
1
,
日髙 寿美
2
KOBAYASHI Shuzo
1
,
HIDAKA Sumi
2
1湘南鎌倉総合病院院長
2湘南鎌倉総合病院腎臓病総合医療センター
pp.823-827
発行日 2025年12月25日
Published Date 2025/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000002264
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
腎臓病学の歴史において,「慢性腎不全(chronic renal failure:CRF)」という用語は長く用いられてきた。CRFは腎機能が持続的に低下し,最終的に透析療法や腎移植を必要とする状態を指す診断名として広く浸透していた。しかし,この用語は「腎不全」という言葉の印象が,末期腎不全(end-stage kidney disease:ESKD)の重篤な状態を強調しすぎる感があり,腎機能が軽度から中等度に障害された段階を意識することが難しかった。しかし徐々に,腎機能低下の早期段階であっても,心血管疾患(cardiovascular disease:CVD)などの合併症リスクがあることが認識され1),腎臓病の捉え方が変わってきた。また,臨床や研究における重症度の標準化が難しく,疫学調査や治療効果判定において国際的な比較が困難であった。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

