特集 神経系に作用する薬物マニュアル1998
Ⅰ.受容体に作用する薬物
2.Gタンパク共役型
2)ペプチド受容体
エンドセリン受容体
山下 康子
1
,
谷山 紘太郎
1
Yasuko Sakurai-Yamashita
1
,
Kohtaro Taniyama
1
1長崎大学医学部薬理学講座
pp.388-391
発行日 1998年10月15日
Published Date 1998/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425901615
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エンドセリン(ET)は1988年にブタ大動脈由来血管内皮細胞の培養上清から単離・精製された,21個のアミノ酸からなる血管収縮ペプチドであり1),ET-1,2,3の三つのアイソフォームが存在する。その受容体として,現在のところETA,ETBおよびETCの3種類が存在するが,ETC受容体はアフリカツメガエルのdermalmelanophoreからクローニングされたものの2),哺乳動物ではまだ確認されていない。ETA受容体はET-1≧ET-2≫ET-3,ETB受容体はET-1=ET-2=ET-3の結合特性を示す。ETC受容体はET-3により高い親和性を示す。いずれの受容体も7個の膜貫通領域を含むG蛋白質共役型受容体スーパーファミリーに共通の構造をもつ。
ヒト組織でもETAおよびETB受容体は広範囲に発現しており,血管においては,ETA受容体が平滑筋細胞に存在して収縮反応に,またETB受容体は内皮細胞に存在して一酸化窒素(NO)およびプロスタサイクリンの産生を介して弛緩反応に関与すると考えられている。しかし,ウサギ伏在静脈などにおいてはETA受容体アンタゴニスト抵抗性のET-1による収縮反応が報告されており,ETB受容体のサブタイプの存在が示唆されている。
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