Japanese
English
Bedside Teaching
エンドセリン受容体拮抗薬
Endothelin Receptor Antagonist
安達 進
1
,
伊藤 宏
1
Susumu Adachi
1
,
Hiroshi Ito
1
1東京医科歯科大学第二内科
1Second Department of Internal Medicine, Tokyo Medical and Dental University
pp.163-168
発行日 2000年2月15日
Published Date 2000/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404902043
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はじめに
エンドセリンは1988年にブタ血管内皮から単離精製された21アミノ酸からなるペプチドタンパク1)で,現在知られている血管作動物質のなかで最も強力な血管収縮・昇圧作用を持つ物質の1つであることから,血圧調節の中心的な役割を果たしている可能性のある物質として注目されていた.しかしその後の研究で,エンドセリンの血圧調節における役割は部分的なもので,高血圧の病態をエンドセリンの作用のみで説明することはできないことがわかったが,依然として高血圧の病態解明の主要因になる物質の1つであることには異論がないものと思われる.さらにエンドセリンは血管内皮以外の組織でも発現し,それがオートクライン・パラクライン因子として生体内で機能していることを示唆する研究成果が近年,多数報告されており,エンドセリンが血管だけでなく他の臓器においても作用しており,種々の高血圧性疾患の病態や臓器障害などに関わっている可能性が考えられている.したがって,エンドセリンの生体内での作用を抑制するエンドセリン受容体の拮抗薬の開発および臨床応用は大いに期待されるものと思われる.
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