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English
特集 IgA腎症のすべて―最新の診断法と治療
治療
IgA腎症とSGLT2阻害薬
SGLT−2 inhibitors in IgA nephropathy
山本 遼
1
,
柴田 了
1
,
深水 圭
1
YAMAMOTO Ryo
1
,
SHIBATA Ryo
1
,
FUKAMI Kei
1
1久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門
キーワード:
SGLT2阻害薬
,
DAPA-CKD試験
,
EMPA-KIDNEY試験
Keyword:
SGLT2阻害薬
,
DAPA-CKD試験
,
EMPA-KIDNEY試験
pp.216-221
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001996
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はじめに
SGLT2阻害薬は,ナトリウム-グルコース共輸送体であるSGLT2を尿細管側から阻害することにより,尿中に糖を排泄する血糖降下薬である。近年DAPA-CKD試験やEMPA-KIDNEY試験の結果を受けて,ダパグリフロジンやエンパグリフロジンが非糖尿病を含む慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に保険適用となった。それぞれの試験にはIgA腎症症例が含まれており,SGLT2阻害薬のIgA腎症に対する有効性が明らかとなった。以上の結果を受けて,日本腎臓学会は2022年11月に「CKD治療におけるSGLT2阻害薬の適正使用に関するrecommendation」1)を一般公開し,蛋白尿陽性の糖尿病非合併CKD(IgA腎症や巣状分節性糸球体硬化症など)に対して,原疾患の治療に加えSGLT2阻害薬の積極的使用を考慮することが明記された。本稿では,SGLT2阻害薬を使用した大規模臨床試験の結果から得られた腎保護効果のエビデンスを概説し,IgA腎症治療薬としての今後の展望を考察する。

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