BAFF/APRIL阻害薬

Anti−BaFF/APRIL therapies

はじめに

　IgA腎症の病態には，ヒンジ部O型糖鎖修飾異常を有する糖鎖異常IgA1（galactose deficient IgA1：Gd-IgA1）が深く関与している。腎炎惹起性Gd-IgA1が血中に増加（hit 1）し，そのGd-IgA1に対する特異的抗体が産生され（hit 2），それらの免疫複合体を形成する（hit 3）。その高分子免疫複合体が，肝臓でのクリアランスの低下や腎糸球体への親和性を獲得することで，腎メサンギウム領域への沈着から腎炎が誘導される（hit 4）とする，multi-hitメカニズムが現在広く受け入れられている（図1）^1）。この一連の過程には，B細胞の活性化とIgA産生の制御異常が深く関与しており，APRIL（a proliferation inducing ligand）およびBAFF（B cell activating factor）が重要な役割を果たしていると考えられている。