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特集 ヘマトネフロロジー
各論:各疾患と腎障害の相互の病態関連と腎障害に対する治療
抗凝固薬関連腎症
anticoagulant-related nephropathy
平井 利典
1
HIRAI Toshinori
1
1東京科学大学病院薬剤部
キーワード:
ワルファリン
,
直接経口抗凝固薬
,
抗凝固薬関連腎症
Keyword:
ワルファリン
,
直接経口抗凝固薬
,
抗凝固薬関連腎症
pp.114-119
発行日 2025年7月25日
Published Date 2025/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001972
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Ⅰ 抗凝固薬の薬理・動態とエビデンス
ウィルヒョウの三徴(Virchow’s triad)は,① 血流うっ滞,② 血管内皮障害,③ 血液凝固能の亢進の3つを,血栓形成に不可欠な要素として表現している。抗凝固薬は,二次止血機構の核となる血液凝固カスケードのいずれかを阻害し,血栓の形成を抑える薬物を総称する1)。血液凝固カスケードは,① 血管壁から露出した組織因子と第Ⅶ因子との反応による外因系,② コラーゲンやリポ多糖を基質にした第Ⅻ因子の活性化からはじまる内因系が始点となる(図1)1)。外因系と内因系が合流した共通系では,上流の反応にて合成された大量のトロンビン作用を媒介して,フィブリノーゲンからフィブリンモノマーが生成される。そして,架橋化したフィブリンが血管壁の傷害部位を覆うことで血液凝固反応が完結する。

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