Japanese
English
特集 CKD-MBD ―進歩と革新
リン,カルシウム,PTHの管理
CKD-MBD治療薬と副作用
Adverse effects of therapeutic agents for CKD-MBD
山田 俊輔
1
,
荒瀬 北斗
1
,
松枝 修明
1
YAMADA Shunsuke
1
,
ARASE Hokuto
1
,
MATSUEDA Shumei
1
1九州大学病院腎・高血圧・脳血管内科
キーワード:
便秘
,
下痢
,
心血管イベント
,
低Ca血症
,
高Ca血症
Keyword:
便秘
,
下痢
,
心血管イベント
,
低Ca血症
,
高Ca血症
pp.679-684
発行日 2025年5月25日
Published Date 2025/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001888
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はじめに
慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)に伴う骨ミネラル代謝異常〔CKD-mineral and bone disorder(MBD)〕は,さまざまな併存疾患や予後にかかわるCKD/透析患者の重要な合併症である。CKD-MBD診療の特徴として,非常に多くの薬剤が使用可能である点が挙げられる。ビタミンD受容体作動薬(vitamin D receptor activator:VDRA),リン低下薬,カルシミメティクス,そして骨代謝作動薬である。これらの薬剤の上市は,その都度,CKD-MBD診療の歴史においていくつもの転換点を刻んできた。VDRAの登場によって骨格変形をきたすような高度の二次性副甲状腺機能亢進症(secondary hyperparathyroidism:SHPT)が管理可能となり,リン低下薬によってリン過剰に伴うさまざまな合併症の進展が抑制され,カルシミメティクスによって血清副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone:PTH)の管理が飛躍的に向上して副甲状腺摘出術を受ける患者が減少した。また,骨密度を驚異的に増加させる骨代謝作動薬の出現は,CKD患者の骨折を今後大きく減らすことになるだろう。これらはCKD-MBD治療薬の“光”の側面である。一方,薬剤である以上,CKD-MBD治療薬も使い方を誤ると患者を命の危険にさらしかねない。いわゆる“副作用”としてわれわれが認識する“影”の側面がある。CKD-MBD治療薬を安全にかつ長期的に使用するために,われわれはその副作用について熟知しておく必要がある。

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