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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
V.各論4:血管系疾患における腎病変(診断と治療)
3.強皮症腎クリーゼ
Scleroderma renal crisis
桑名 正隆
1
Kuwana Masataka
1
1日本医科大学大学院医学研究科アレルギー膠原病内科学分野
キーワード:
全身性硬化症
,
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
,
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
Keyword:
全身性硬化症
,
抗RNAポリメラーゼⅢ抗体
,
アンジオテンシン変換酵素阻害薬
pp.355-360
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001629
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1 はじめに
全身性硬化症(systemic sclerosis:SSc)または全身性強皮症は,皮膚や内臓諸臓器の多臓器の非可逆的な障害をきたす膠原病である。近年,多くの膠原病で機能・生命予後の改善が得られているが,SScでは年齢,性で補正した死亡率は一般集団に比べて5~8倍高く,難治性病態として取り残されている1)。死因の多くは疾患自体による臓器不全であり,間質性肺疾患が最も多く,次いで肺動脈性肺高血圧症,心筋障害,消化管障害,強皮症腎クリーゼ(scleroderma renal crisis:SRC)の順である。SRCはSSc固有の腎障害として知られ,新規発症の急激な血圧の上昇に加えて,腎不全,高血圧脳症,うっ血性心不全を伴い,致死的な経過を特徴とする2)。近年,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(angiotensin converting enzyme inhibitor:ACEI)の導入により生命予後は大きく改善した。SSc患者におけるSRCの発症頻度は報告によって1~20%と大きく異なる。地域による差が大きく,米国東部や英国で頻度が高く,英国以外の欧州やアジアでは頻度が低い3)。わが国での頻度はSSc患者全体の3%以下と少ない。
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