Japanese
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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
V.各論4:血管系疾患における腎病変(診断と治療)
4.高安動脈炎の診断と治療
Diagnosis and therapeutics of Takayasu arteritis
中岡 良和
1,2
Nakaoka Yoshikazu
1,2
1国立循環器病研究センター研究所血管生理学部
2国立循環器病研究センター病院心臓血管内科
キーワード:
高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)
,
グルココルチコイド(glucocorticoids:GCs)
,
トシリズマブ(tocilizumab:TCZ)
,
インターロイキン-6(interleukin-6:IL-6)
Keyword:
高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)
,
グルココルチコイド(glucocorticoids:GCs)
,
トシリズマブ(tocilizumab:TCZ)
,
インターロイキン-6(interleukin-6:IL-6)
pp.361-366
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001630
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1 はじめに
全身性血管炎の分類基準のChapel Hill分類(CHCC2012)での1カテゴリーである「大型血管炎」(large vessel vasculitis:LVV)は,高安動脈炎(Takayasu arteritis:TAK)と巨細胞性動脈炎(giant cell arteritis:GCA)の2疾患から構成される(図1)1)。TAKはいまだ原因不明の厚生労働省指定難病の1つである。TAKは病理学的には弾性動脈の中膜破壊を認めて,多核巨細胞の浸潤を伴うことを特徴とする自己免疫性血管炎であり,主に大動脈とその1次分枝に炎症をきたす(図1)。TAKの病名は,日本人の眼科医である高安右人が22歳女性の眼底異常に関して1908年に日本眼科学会で報告したことに由来し,日本人医学者の名が冠される数少ない疾患の1つである2)。これまで高安動脈炎,大動脈炎症候群,高安病,脈なし病などのさまざまな呼称が存在したが,2015年の難病法施行時に,高安動脈炎に統一された2)。また,CHCC2012で英文病名はTakayasu arteritisとされて,略語はTAKである1)。TAKの患者数は難病受給者証の所持者数から4,000~5,000名と推計され,男女比は約1:9である3)。女性の初発年齢は20歳前後にピークがあるのに対して,男性ではそのようなピークはみられない2,3)。TAKは世界ではアジア,中近東に多い。
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