治療
腎クリーゼを発症した抗RNAポリメラーゼ抗体陽性全身性強皮症
斎藤 佑希
1
,
松下 貴史
,
濱口 儒人
,
藤本 学
,
竹原 和彦
1金沢大学 医薬保健研究域医学系皮膚科学教室
キーワード:
Captopril
,
Enalapril
,
DNA-Directed RNA Polymerases
,
高血圧
,
自己抗体
,
強皮症腎
Keyword:
Captopril
,
Autoantibodies
,
Enalapril
,
Hypertension
,
DNA-Directed RNA Polymerases
pp.985-988
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014038315
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症例1(53歳女)。全身性強皮症でプレドニゾロン(PSL)内服が開始されたが、皮膚硬化が難治のため紹介受診となった。所見より抗RNAポリメラーゼ抗体陽性のdiffuse型全身性強皮症と診断されたが、内臓病変はなく、PSLの継続と漸減を行い、経過観察していた。だが、受診から約4年経過でCrの上昇、頭痛、目のかすみが出現、更に血圧高値で緊急入院となり、強皮症腎クリーゼと診断された。対処としてアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)のカプトプリルにCa拮抗薬とβ遮断薬を併用したところ、血圧は正常化し、血清Cr値も低下傾向となり、透析を回避することができた。症例2(43歳女)。強皮症の疑いで紹介受診となった。症例1と同様の診断でPSLを開始したが、5ヵ月後に頭痛、嘔気、胸痛と血圧上昇で緊急入院となった。所見では腎機能異常や高レニン血症は認められなかったが、明らかな高血圧性脳症の症状により強皮症腎クリーゼと診断された。対処としてACEIであるエナラプリルマレイン酸塩を開始したところ、高血圧は速やかに正常化した。以上、本症例の臨床的経過からも抗RNAポリメラーゼ抗体陽性の強皮症患者には腎クリーゼ発症を前提に十分な観察が重要であると考えられた。
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