Japanese
English
特集 腎疾患の診断と治療 最前線
II.各論1:糸球体疾患(診断と治療)
11.細線維性糸球体腎炎とイムノタクトイド糸球体症
Fibrillary glomerulonephritis and immunotactoid glomerulopathy
大橋 隆治
1
Ohashi Ryuji
1
1日本医科大学大学院医学系研究科統御機構診断病理学
キーワード:
腎沈着症
,
細線維性糸球体腎炎
,
イムノタクトイド糸球体症
,
モノクローナル免疫グロブリン沈着症
Keyword:
腎沈着症
,
細線維性糸球体腎炎
,
イムノタクトイド糸球体症
,
モノクローナル免疫グロブリン沈着症
pp.123-129
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001585
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
1 はじめに
細線維性糸球体腎炎(fibrillary glomerulonephritis:FGN)とイムノタクトイド糸球体症(immunotactoid glomerulopathy:ITG)は,Congo Red染色陰性のアミロイド線維とは異なる細線維物質の糸球体内沈着を特徴とする腎疾患である。これらの疾患の存在は,1970年代から指摘されていたが,光学顕微鏡(光顕)上FGNとITGは類似した組織像を呈することが多いため,異なる疾患であることに異論を唱える研究者もいた1,2)。1980年代以降,FGNとITGの臨床病理像に関するデータが集積することで,形態像,病因的な相違点が次第に明らかとなり,FGNとITGは別の疾患であるとの考えは徐々に広まっていった3)。近年になり,FGNにDnaJ homolog subfamily B member 9(DNAJB9)蛋白が特異的に発現しているとの報告があり,FGNとITGは独立した疾患であるという概念が確立された4)。現在,ITGの多くと,FGNの一部が単クローン性免疫グロブリン血症を伴うため,国際腎臓・単クローン性ガンマグロブリン血症研究グループ(International Kidney and Monoclonal Gammopathy Research Group:IKMG)は,ITGとFGNを単クローン性ガンマグロブリン血症による腎障害(monoclonal gammopathy of renal significance:MGRS)の疾患群の1つに規定している5)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.