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1 はじめに
2012年,monoclonal immunoglobulin(M蛋白)関連腎疾患に関する新たな疾患概念として,International Kidney and Monoclonal Gammopathy Research Groupによりmonoclonal gammopathy of renal significance(MGRS)が提唱された1)。その時点のInternational Myeloma Working Group(IMWG)の診断基準2)では,臓器障害(腎に関しては,血清クレアチニン値>2 mg/dL)を有する骨髄腫を治療適応の症候性骨髄腫とし,治療の必要がない病態はmonoclonal gammopathy of undetermined significance(MGUS,血清M蛋白<3 g/dL,骨髄形質細胞<10%)と定義されていた。しかし,M蛋白関連腎疾患の臨床知見が集積され,IMWGの診断基準ではMGUSと分類されても,無治療中に腎機能低下が進行性で腎外病変も認める種々の病型が明らかになっていた。これらの背景から,Leungらは,“MGRS:when MGUS is no longer undetermined or insignificant”と表現し,早期の治療介入の重要性を強調した1)。2014年に改定されたIMWGの診断基準3)では,腎に関する臓器障害に,クレアチニンクリアランス(eCcr)<40 mL/分と,軽鎖円柱腎症の所見(典型的な組織所見の存在,ないしM蛋白関連の血清遊離軽鎖>1,500 mg/L)が記載された。また,改定前の診断基準2)で,そのほかの臓器障害に含まれていたアミロイドーシスが除外された。Monoclonal gammopathyは,血液学的予後より腎予後の観点が重要で早期治療の必要性が指摘され,血液内科医と腎臓内科医双方の関心が高まってきている4,5)。MGUSからMGRSへの移行率は不明なため今後のコホート研究が必要である。
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