Japanese
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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅱ.糸球体疾患
11.リポ蛋白糸球体症
Lipoprotein glomerulopathy
斉藤 喬雄
1
,
松永 彰
2
Saito Takao
1
,
Matsunaga Akira
2
1社団三光会三光クリニック
2福岡大学総合医学研究センター
キーワード:
アポ蛋白E変異
,
リポ蛋白血栓
,
Ⅲ型高脂血症
,
マクロファージ機能不全
Keyword:
アポ蛋白E変異
,
リポ蛋白血栓
,
Ⅲ型高脂血症
,
マクロファージ機能不全
pp.83-87
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001001
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1 病因,病態
リポ蛋白糸球体症(lipoprotein glomerulopathy:LPG)は蛋白尿を呈し,腎生検組織所見では,いわゆるリポ蛋白血栓による糸球体係締の著しい拡張を特徴とする腎疾患である。1986年以降,筆者らをはじめ各地域から同様の病態が5例報告されたされたのを契機に,慶應義塾大学病理学教室の坂口 弘教授のもとで検討を行い,LPGとして発表することとなった1)。発見当初から,アポE高値のⅢ型高脂血症を呈し,家族内発症も認められるため,遺伝性疾患と推測されていた。1997年,DNAシークエンス分析により,アポEを形成する299個のアミノ酸のうち,145番目のアルギニンがプロリンへ置換したAPOE Arg145Pro(p.R163P)がLPGで発見され,APOE Sendaiと命名された2)。さらに,LPGの大半でさまざまなヘテロ型アポE変異が明らかになり,これまで15種類が知られている(図1)3)。
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