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1 病因・病態
イムノタクトイド糸球体症(immunotactoid glomerulopathy:ITG)と細線維性糸球体腎炎(fibrillary glomerulonephritis:FGN)は,いずれも非アミロイド性の細線維が糸球体に沈着する稀少腎疾患である。ITGは1980年にSchwartzとLewis1)が,FGNは1977年にRosenmannとEliakim2)が初めて報告した。ITGとFGNの原因は不明でこれまでに特異的な遺伝子異常は知られていないが,血液疾患,膠原病,単クローン性高免疫グロブリン血症(monoclonal gammopathy)の合併を認めるため,非悪性または境界悪性のB細胞(または形質細胞)が産生する免疫グロブリンや軽鎖などの成分(パラプロテインまたはMタンパク)によって生じる腎障害,「monoclonal gammopathy of renal significance:MGRS」に分類された。MGRSは顕性・症候性の多発性骨髄腫またはリンパ増殖性疾患の診断基準は満たさず,「意義不明の単クローン性ガンマグロブリン血症(monoclonal gammopathy of undetermined significance:MGUS)」の基準を満たし,かつその単クローン性タンパク質に起因した腎障害であることが組織学的に示された疾患の総称として,2012年に国際腎臓・単クローン性ガンマグロブリン血症研究グループ(the International Kidney and Monoclonal Gammopathy Research Group(IKMG))により提案された3)。2017年のニューオーリンズでの会議を経て,IKMGからMGRSについてのコンセンサスステートメントが発表されている4)。なお,MGRSの疾患概念を確立した主要目的は,臓器障害を示さないMGUS患者と,進行性の腎臓疾患を発症するリスクのあるMGRS患者とを区別することにある。MGRSは腎臓病理学の広いスペクトルを包含しており,免疫グロブリン関連アミロイドーシス,モノクローナル免疫グロブリン沈着症(軽鎖沈着症,重鎖沈着症,軽鎖・重鎖沈着症),C3腎症,軽鎖近位尿細管障害,その他の多くの疾患が含まれる(表1)。
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