Japanese
English
特集 補体と腎疾患:温故知新
腎疾患における補体と病態生理
急性糸球体腎炎
Acute glomerulonephritis
山田 宗治
1
,
尾田 高志
1
YAMADA Muneharu
1
,
ODA Takashi
1
1東京医科大学八王子医療センター腎臓病センター腎臓内科・血液浄化療法室
キーワード:
急性糸球体腎炎
,
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
,
NAPlr
,
感染関連糸球体腎炎
,
感染後糸球体腎炎
Keyword:
急性糸球体腎炎
,
溶連菌感染後急性糸球体腎炎
,
NAPlr
,
感染関連糸球体腎炎
,
感染後糸球体腎炎
pp.64-69
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001394
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はじめに
急性糸球体腎炎(acute glomerulonephritis:AGN)は,急性に発症する血尿,蛋白尿,高血圧,糸球体濾過量の低下,ナトリウム(natrium:Na)および水の貯留を主徴とする急性腎炎症候群の代表疾患であり,種々の先行感染ののち,1~2週間程度の潜伏期を経て発症する。従来,AGNの先行感染の大多数は溶連菌であり,多くの症例で腎炎発症時にすでに溶連菌感染が治癒しているため,溶連菌感染後急性糸球体腎炎(post-streptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)と呼称されてきた1)。過去数十年の間に感染症に関連した糸球体腎炎の疫学にパラダイム・シフトが起こり,成人,特に高齢者にブドウ球菌などを含む多彩な起因菌の感染によるPSAGN以外の糸球体腎炎例が増加してきた。このような症例は予後不良であることが多く,腎炎発症時に感染が終息することなく進行中であることが多いため,より広く感染関連糸球体腎炎(infection-related glomerulonephritis:IRGN)と総称されるようになってきた2)。IRGNの疾患概念は次第に広がり,多彩な病態を含むようになってきたが,今号の主眼は補体と腎疾患との関連性にあるので,本稿ではこの面での知見の多いPSAGNに絞って概説することとする。
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