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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅱ.糸球体疾患
10.コラーゲン線維症性糸球体症
Collagenofibrotic glomerulopathy
牟田 久美子
1
,
松尾 さゆみ
1
,
西野 友哉
1
Muta Kumiko
1
,
Matsuo Sayumi
1
,
Nishino Tomoya
1
1長崎大学病院腎臓内科
キーワード:
Ⅲ型膠原線維
,
血清procollagen Ⅲ N-terminal peptide
,
血清ヒアルロン酸
Keyword:
Ⅲ型膠原線維
,
血清procollagen Ⅲ N-terminal peptide
,
血清ヒアルロン酸
pp.80-82
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001000
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1 病因・病態
コラーゲン線維症性糸球体症(collagenofibrotic glomerulopathy)はⅢ型膠原線維が糸球体に沈着して蓄積する稀少疾患である。正常な腎臓では糸球体内に存在しないⅢ型膠原線維が,本疾患ではメサンギウム領域や内皮下腔に蓄積する1)。その病因は不明だが,アジアでの報告が多いことや家族内発症の報告から,地理的要因や遺伝要因が示唆される2)。また,Factor H deficiencyや糖尿病,ホジキンリンパ腫での合併例が報告されているが,全身性疾患との関連は不明である3~5)。本疾患の機序について,Ⅲ型膠原線維の前駆体のN末端のペプチドであるprocollagen Ⅲ N-terminal peptide(PⅢNP)が血清で上昇しており,Ⅲ型膠原線維の合成亢進や代謝異常が示唆される6)。また,Ⅲ型膠原線維を増加させる働きのあるヒアルロン酸が血清で増加しており,発症に関与する可能性はあるが詳細は明らかでない7, 8)。剖検例で肝臓や脾臓など多臓器にⅢ型膠原線維の沈着を認めたという報告からも本疾患は全身性疾患であると考えられる9)。
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