臨時増刊特集 診断基準とその使い方
VIII.腎・尿路疾患
糸球体腎炎
小出 桂三
1
1国立王子病院循環器科
pp.2064-2068
発行日 1977年12月5日
Published Date 1977/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402207597
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糸球体腎炎の分類
糸球体腎炎の概念とそれに基づく分類は,腎臓病学の進歩とともに変遷をくりかえし,今日にいたっている,表1は,木下が現在までの特徴をもった分類を一括表示したものである.1951年にIversenおよびBrunが,今日の経皮的腎生検法を発表し,広く普及するにおよんで,糸球体腎炎の病型分類の再検討がさけばれるようになった.表1ではReubiの分類より以降のものが生検材料の所見を考慮したものである.
腎生検が登場する以前の糸球体腎炎の分類は,剖検時の腎組織像に基づいたもので,腎病変の発生・推移などの理解もすべて剖検所見の上に組み立てられていた.しかし,腎生検の導入により①同一患者の発病より治癒または死亡にいたるまでの組織像を経時的に観察することが可能となり,②生検材料は死後の時間による生物学的崩壊を考慮に入れる必要がないため,電子顕微鏡による超微細構造の観察や螢光抗体法による免疫組織学的研究の導入など新しい研究診断技術が用いられ,腎組織の変化の由来をより正確に把握できるようになった結果,糸球体腎炎に関する新しい知見が蓄積されるようになり,新しい糸球体腎炎の分類が要求されてきた.
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