Japanese
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特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅳ.全身性疾患に伴う腎障害
17.肝炎ウイルス関連腎炎
Hepatitis virus associated glomerulonephritis
後藤 眞
1
Goto Shin
1
1新潟大学大学院医歯学総合研究科腎研究センター 腎・膠原病内科学
キーワード:
HBV
,
HCV
,
B型肝炎ウイルス
,
C型肝炎ウイルス
,
クリオグロブリン血症
Keyword:
HBV
,
HCV
,
B型肝炎ウイルス
,
C型肝炎ウイルス
,
クリオグロブリン血症
pp.269-273
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001038
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B型肝炎ウイルス関連腎炎
1 病因・病態
B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:HBV)に対するヒト免疫反応は,HBs抗原(HBV suface antigen:HBsAg),core antigen(HBc抗原),extracellular antigen(HBe抗原)にウイルス排除を目的に作用するが,一方で,腎障害を誘発する免疫複合体の形成につながる。これらは循環免疫複合体あるいは,in situでの免疫複合体形成として,複合体のサイズや電荷に影響される1)。各HBV抗原は陰性荷電を帯びており,またHBs抗原やHBc抗原は分子量が大きく糸球体基底膜を超えて上皮細胞下には沈着しにくいとされる。むしろメサンギウム領域や内皮細胞下に沈着しやすいとされ,膜性増殖性糸球体腎炎(membranoproliferative glomerulonephritis:MPGN)の症例では腎組織からHBsAgに対する抗体が抽出される。一方,HBe抗原は比較的分子量が小さく,HBe抗原に対するIgG抗体は陽性荷電であることから上皮細胞下に沈着しやすい(図1)2)。
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