Japanese
English
特集 病因・病態生理から読み解く腎・泌尿器疾患のすべて
Ⅳ.全身性疾患に伴う腎障害
14.ループス腎炎
Lupus nephritis
池内 秀和
1
,
廣村 桂樹
1
Ikeuchi Hidekazu
1
,
Hiromura Keiju
1
1群馬大学大学院医学系研究科内科学講座腎臓・リウマチ内科学分野
キーワード:
全身性エリテマトーデス
,
ループス腎炎
,
ループス腎炎診断と治療
,
ループス腎炎ガイドライン
Keyword:
全身性エリテマトーデス
,
ループス腎炎
,
ループス腎炎診断と治療
,
ループス腎炎ガイドライン
pp.254-258
発行日 2023年12月15日
Published Date 2023/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001035
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1 病因・病態
ループス腎炎(lupus nephritis:LN)は,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)に合併しやすい腎疾患である1)。SLEの病因は不明であるが,双子や親兄弟でのSLEをはじめとする自己免疫性疾患の発症リスクが高いことから,遺伝学的要因の関連が示唆されている2)。DNAクリアランスと補体系の異常により,SLE患者の生体内にはアポトーシス細胞や好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps:NETs)由来の細胞外クロマチンが多く存在しており,これが樹状細胞を活性化させ,T細胞,B細胞への自己抗原提示,抗体産生,マクロファージの活性化を引き起こす。自己抗体は糸球体係蹄壁やメサンギウムに沈着したクロマチンの断片に結合して免疫複合体を形成したり,あるいは血中のクロマチンと結合して免疫複合体となってから腎臓に沈着したりする。これらの免疫複合体とそれに伴う補体の活性化により腎局所での炎症が惹起される。炎症により生じた核由来の免疫原性物質が樹状細胞に認識され,悪循環が生じる(図)3)。
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