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1.はじめに
全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)は原因不明で,多臓器に免疫複合体が沈着することで臓器障害を起こす自己免疫疾患である.膠原病のなかでは関節リウマチに次いで多く,2002(平成14)年度末の厚生労働省特定疾患登録患者数は52,452人であり,わが国における罹患率は10万人あたり8~10人と推定されている.男女比は1:9~10と圧倒的に女性に多く,発症年齢は20~40歳代であることが多い.
SLEが原因となって生じる腎病変を総称してループス腎炎といい,SLE患者の50~80%に合併する.日本透析医学会の報告によるとわが国ではSLEを原疾患として透析導入されている患者数は毎年300人程度認められており1),ループス腎炎はSLE患者の予後を大きく左右する病態の一つである.臨床症状は多彩で無症候性の血尿のみのものからネフローゼ症候群や急速進行性糸球体腎炎を呈するものまで様々であり,なかには腎炎としての臨床徴候を示さず腎生検を行うとループス腎炎の組織所見を認める症例もあるが,一般的には尿異常もしくは腎機能低下があれば腎生検を行い,組織障害の程度を評価し治療方針を決定することになる.組織所見としては糸球体病変が主であり,免疫複合体がメサンギウム領域・内皮下・上皮下などに沈着することにより炎症が惹起されるが,尿細管・間質病変・細小動脈病変を伴うことも少なくない.
以前からループス腎炎の分類としてWHO分類などが提唱されてきたが,2003年にInternational Society of Nephrology/Renal Pathology Society(ISN/RPS)の後援により新分類が提案され,約4年が経過した.
今回は新分類の解説をしたうえで,新分類に対する現在までの文献的な評価および当科での新分類による予後の検討について述べる.
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