症例
エトスクシミドによる薬剤誘発性ループスが疑われた全身性エリテマトーデスの女児例
佐藤 智信
1
,
平松 泰好
1
,
瀬越 尚人
1
,
渡邊 康太
1
,
白石 春生
1
,
丸尾 優爾
1
,
佐藤 紀夫
1
,
菅沼 隆
1
,
三河 誠
1
,
植田 佑樹
2
,
佐々木 聡
3
1北見赤十字病院小児科
2北海道大学病院小児科
3医療法人菊郷会愛育病院小児科
キーワード:
全身性エリテマトーデス
,
薬剤誘発性ループス
,
エトスクシミド
,
ループス腎炎
Keyword:
全身性エリテマトーデス
,
薬剤誘発性ループス
,
エトスクシミド
,
ループス腎炎
pp.685-691
発行日 2022年6月1日
Published Date 2022/6/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002199
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全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)は多臓器性の炎症性疾患であり,抗核抗体や抗ds(double stranded)-DNA抗体など自己抗体の産生と,免疫複合体の沈着によるⅢ型アレルギーに分類される血管炎や組織障害がその病態である.成人のSLEと比較して小児SLE(childhood-onset SLE:cSLE)はその10年生存率が98%を超えているものの,急性な経過をたどることから,早期の診断と治療介入が重要である1).一方,ある種の薬剤使用が自己抗体の出現やループス様症状を誘導し,薬剤誘発性ループス(drug-induced lupus erythematosus:DILE)を生じさせることが広く知られている2)3).今回,抗てんかん薬であるエトスクシミド(ethosuximide:ESM)の内服開始後からループス様症状や高度の蛋白尿がみられ,経過からはDILEが疑われたものの,腎生検にてループス腎炎が確認されたことなどからcSLEと診断した女児例を経験したので報告する.
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