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はじめに
腹腔鏡内視鏡合同手術(laparoscopic and endoscopic cooperative surgery:LECS)は,胃粘膜下腫瘍に対して内視鏡と腹腔鏡を併用することにより必要最小限の切除範囲で切除する術式として報告1)され,広く普及している。十二指腸LECS(laparoscopic and endoscopic cooperative surgery for duodenal tumor:D-LECS)はこの術式を十二指腸に応用したものとして2015年に報告2)された。表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍(superficial non-ampullary duodenal epithelial tumor:SNADET)の多くは内視鏡治療の適応となるが,内視鏡治療は技術的な困難さに加えて,治療部位への膵液・胆汁曝露による遅発性穿孔や後出血が問題となる3~5)。特にサイズが大きな病変ではESDによる一括切除が望ましいが,偶発症発症率が高く,しっかりとした対策が求められることから,一部の手技に習熟した術者,施設のみで行われているのが現状である3~5)。一方で外科手術は,局所切除においては腫瘍の位置同定が困難な場合が多く,また膵頭十二指腸切除は過大侵襲につながる可能性がある。D-LECSはこれらの問題を解決しうる術式であり,安全性が確認されたことから6, 7),2020(令和2)年度に保険収載された。D-LECSはESDにより病変を一括切除したあとに,腹腔鏡で漿膜側から縫合糸を用いて漿膜筋層縫縮を追加することで,創部を補強し,遅発性穿孔などの術後偶発症を最小限に抑えられるという利点がある8, 9)。また,ESD時に穿孔をきたした場合であっても,腹腔鏡で穿孔部の縫合閉鎖を行うことで術後偶発症を回避できるため,ESDを行っていない施設の導入期において橋渡しとなる術式としても期待されている。
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