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特集 症例から学ぶ大腸ESD―失敗しないためのKnacks & Tips―
[各論 大腸ESDを安全確実に行う基本ストラテジー]
トラクション法 S-O clipⓇ
Traction method with “S-O clipⓇ”
坂本 直人
1,2
,
中津 洋一
2
,
村上 敬
3
,
福嶋 浩文
3
,
荻原 伸悟
2
,
長田 太郎
2
,
永原 章仁
3
Naoto Sakamoto
1,2
,
Yoichi Nakatsu
2
,
Takashi Murakami
3
,
Hirofumi Fukushima
3
,
Shingo Ogiwara
2
,
Taro Osada
2
,
Akihito Nagahara
3
1さかもと内視鏡クリニック
2順天堂大学医学部附属浦安病院消化器内科
3順天堂大学医学部附属順天堂医院消化器内科
キーワード:
大腸ESD
,
牽引法
,
S-O clipⓇ
,
けん引クリップ
Keyword:
大腸ESD
,
牽引法
,
S-O clipⓇ
,
けん引クリップ
pp.1629-1635
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000487
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はじめに
ESDは病変の大きさや形態にかかわらず一括切除が可能な優れた手技であり,大腸においてもその有効性は示され1),現在では多くの施設で行われるようになっている。しかし,メスをもった片手のみで手術するような方法であり,線維化の強い症例や筋層が対峙してしまう状況においては剝離操作に難渋する。トラクション法は手術における介助者のように視野を確保しテンションをかけてくれるため,接線方向からのアプローチが可能となり安定した剝離操作を行うことができる。体位変換は重力を利用した基本的なトラクション法であり,大腸ではほとんどの内視鏡医が行っているものの必ずしも効果が得られるものではない。先端透明フードは粘膜下層に潜り込んだ状態では有効なトラクションとなるが,接線方向からのアプローチが困難な状況では粘膜下層への潜り込みすら難しく十分な効果が得られない。また,難易度の高い病変に対して使用されるHook系のナイフを使用するときには,引きながら切除することでフードによるトラクション効果は失われてしまう。そのため,これまでに多くのトラクション専用のデバイスが考案されてきた2~5)。本稿ではS-O clip6, 7)を用いた大腸ESDのストラテジーについて記載する。
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