特集 大腸ESD の工夫
[各論]
3 .トラクション(1)S‒O クリップ
福嶋 浩文
1
,
坂本 直人
1
,
村上 敬
1
,
上山 浩也
1
,
長田 太郎
2
,
永原 章仁
1
1順天堂大学医学部消化器内科学講座
2順天堂大学付属浦安病院消化器内科
キーワード:
大腸ESD
,
トラクション
,
S‒O クリップ
,
牽引法
Keyword:
大腸ESD
,
トラクション
,
S‒O クリップ
,
牽引法
pp.249-254
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001075
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大腸ESD は早期大腸癌に対する治療法として広く普及してきている.しかし,大腸は屈曲蛇行しており,S 状結腸や横行結腸などは固定されておらず,スコープ操作に難渋することがある.また,ひだの存在,蠕動や呼吸性変動などの影響に加え,壁が薄いため,胃や食道に比べて穿孔を生じる危険性も高い.安全で確実な大腸ESD を行うためには,良好な視野を維持することが肝要であり,これまで多くのデバイスが考案されている.なかでもトラクションデバイスは有効な手段と考えられており,粘膜下層への潜り込みや視野確保のために有効である.S‒O クリップは通常のクリップと同様に鉗子口を通過できるため,事前の準備や内視鏡を再挿入する必要がなく,深部大腸においても簡便に使用できる.また,牽引する方向も自由に選択できるため,虫垂や憩室にかかる病変なども含め,ほとんどの病変において有効である.
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