特集 大腸ESD の工夫
[各論]
3 .トラクション(3)Multi loop 法
田沼 徳真
1,3
,
濱本 英剛
2,3
,
鈴木 雄一郎
3
,
須藤 豪太
3
,
原田 拓
3
,
潟沼 朗生
3
1札幌中央病院消化器内科
2永山消化器・内視鏡内科
3手稲渓仁会病院消化器病センター
キーワード:
大腸ESD
,
トラクション
,
マルチループ法
Keyword:
大腸ESD
,
トラクション
,
マルチループ法
pp.263-268
発行日 2020年2月20日
Published Date 2020/2/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000001077
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内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)におけるトラクション法の一つとして絹糸を用いたMultiloop(M‒loop)法を考案した.M‒loop は3‒0 絹糸を用いて作製した2 連あるいは3 連の鎖状の輪である.M‒loop 法とは,全周切開の後にM‒loop 付きクリップを病変手前側に装着し,反対側の輪を別のクリップで対側の壁に装着することによってトラクションを得る方法である.今回,M‒loop法で大腸ESD を施行した50 例と従来のnon‒traction 法で施行した115 例とで比較検討を行った.その結果,粘膜下層剝離速度はM‒loop 群28.0 mm2/min,Non‒traction 群19.9 mm2/min (P<0.05)となり,有意にM‒loop 群で速かった.両群間で治療成績や偶発症に差はみられなかった.熟練度別で検討すると,特に非熟練者の剝離速度向上に寄与していた.M‒loop は簡便に作製可能でありコストも安いため,汎用性が期待される.
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