Japanese
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特集 胃疾患アトラス 改訂版
各論
Ⅰ. 隆起を呈する病変
3. 非上皮性隆起病変
A. 腫瘍性非上皮性病変
胃Kaposi肉腫
Kaposi’s sarcoma
髙雄 暁成
1
,
飯塚 敏郎
1
,
堀口 慎一郎
2
Akinari TAKAO
1
,
Toshiro Iizuka
1
,
Shinichiro Horiguchi
2
1がん・感染症センター都立駒込病院消化器内科
2がん・感染症センター都立駒込病院病理科
キーワード:
胃Kaposi肉腫
,
HIV
,
human herpesvirus8
Keyword:
胃Kaposi肉腫
,
HIV
,
human herpesvirus8
pp.106-107
発行日 2022年10月20日
Published Date 2022/10/20
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000375
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疾患の概要
Kaposi肉腫はヒトヘルペスウイルス8(Human herpesvirus 8:HHV-8)の感染よって発生する非上皮性の腫瘍である。1994年にAIDSに合併したKaposi肉腫が初めて報告され,このときに原因ウイルスとして同定された8番目のヒトヘルペスウイルスであることから,HHV-8の名称がついている1)。Kaposi肉腫以外にも原発性滲出性リンパ腫や多中心性Castleman病のようなリンパ増殖性疾患との関連性が報告されている2)。前述したようなHHV-8関連疾患は,HIV患者以外に発症することはきわめて稀である。感染経路としては,アフリカ諸国では母子間での垂直感染が主体とされ,他の地域では性行為や唾液を介した水平感染が主体と考えられている。発生機序として,まず唾液や粘膜を介して感染したHHV-8は,生体内でB細胞に潜伏感染をきたす。CD4陽性細胞が減少する免疫不全状態になると感染B細胞の活性化により,ウイルスを産生するものとされている。活性化したHHV-8感染B細胞は,局所で血管内皮細胞などに接触することで細胞間感染が起こり,血管内皮細胞へ感染して腫瘍性増殖をきたし,Kaposi肉腫が発症すると考えられている。皮膚に発症することがもっとも多く,消化管も上下部にわたり発症する。多くは無症状であり,ときに腫瘍からの出血や消化管穿孔,腫瘍増大による消化管閉塞が起こるとされる。
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