今月の主題 皮膚
話題
Kaposi肉腫の診断
塩田 真美
1
,
森 茂郎
1
Mami SIOTA
1
,
Shigeo MORI
1
1東京大学医科学研究所病理研究部
キーワード:
Kaposi肉腫
,
AIDS
,
組織診断
Keyword:
Kaposi肉腫
,
AIDS
,
組織診断
pp.757-760
発行日 1992年7月15日
Published Date 1992/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901146
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1.はじめに
Kaposi肉腫は,皮膚やリンパ節に小血管や異型紡錘型細胞が不規則に増生し大小の結節を作り,ときには内臓にも侵襲する奇病である."肉腫"と命名されてはいるもののその本態は不明で,"腫瘍か非腫瘍か?"の議論をはじめとして,その本態,病因の解明に興味が持たれてきたが,一部の地域を除いて非常にまれな疾患であるため,日常の診療で問題になることはほとんどなかった.しかし本症がAIDSに高頻度に合併すること,この数年間のAIDS症例が急増していることなどにより,Kaposi肉腫はたいへん重要視されるに至っている.
今回のテーマであるKaposi肉腫の診断について言うと,現在のところ単独で決め手になる検査法はなく,もちろん診断基準も定められていない.最終的には病理学的所見に臨床的,疫学的所見を加味して診断しているのが現状である.本稿ではわれわれの経験したKaposi肉腫症例を呈示して,その特徴を述べるとともに,診断上役立つと思われる本疾患の全体像について記載する.
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