Japanese
English
特集 内視鏡データリファレンスブック2022
【臓器別】
胆道・膵臓
再建腸管におけるERCP―使用スコープ別
ERCP in patients with surgically altered gastrointestinal anatomy
島谷 昌明
1
,
光山 俊行
1
,
笠井 健史
1
,
松本 浩尚
1
,
加納 真孝
1
Masaaki SHIMATANI
1
,
Toshiyuki MITSUYAMA
1
,
Takeshi KASAI
1
,
Hironao MATSUMOTO
1
,
Masataka KANO
1
1関西医科大学総合医療センター消化器肝臓内科
キーワード:
ERCP
,
バルーン式内視鏡
,
Roux-en-Y法再建
Keyword:
ERCP
,
バルーン式内視鏡
,
Roux-en-Y法再建
pp.787-792
発行日 2022年4月25日
Published Date 2022/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000000173
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
- サイト内被引用 Cited by
Ⅰ 術後再建腸管例におけるERCP
胆膵疾患に対する診断・治療において,ERCPは最も精度の高い検査・治療法の1つであり,その診断および治療の成功率は90~95%とされている。しかし,術後再建腸管を有する胆膵疾患における内視鏡的アプローチは,Y吻合部からの距離,屈曲などの特殊な解剖学的特性に加えて術後癒着のため,従来の内視鏡では盲端部への挿入および乳頭や胆管/膵管空腸吻合部への到達が困難であり,一般的に内視鏡的アプローチは非現実的で,これまで経皮的治療や外科的治療が選択されてきた。しかし,経皮的治療(percutaneous transhepatic biliary drainage:PTBD)は高侵襲な処置であるだけでなく,皮膚感染,痛み,在宅ケアの困難さ,QOLの低下,腸肝循環障害などのリスクもある。また,PTBDの偶発症発生率は4~9%と高く,特に術後胆管狭窄におけるPTBDの偶発症発生率は11~35%とリスクの高い処置である1, 2)。さらに,PTBDの適応疾患には易出血性症例や腹水貯留例など禁忌症例も多く,膵疾患や肝内胆管拡張のない症例は適応外であり,適応疾患は限られる。外科的手術も高侵襲で,外科的再手術は技術的にも困難である。1回目の手術に比べて吻合部の再狭窄が生じる可能性が高いとされており,胆管空腸吻合部術後狭窄に対する外科的治療の偶発症発生率は20~33%と報告されている3)。以上のことから,内視鏡的治療の必要性は高く,これまでにさまざまな試みがなされてきた。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.