増刊号 早わかり縫合・吻合のすべて
4章 術式別の縫合・吻合法
胃
【幽門側胃切除術】Roux-en-Y法再建での残胃-空腸吻合—開腹
幕内 梨恵
1
,
布部 創也
1
,
佐野 武
1
Rie MAKUUCHI
1
1がん研究会有明病院 胃外科
キーワード:
幽門側胃切除術
,
Roux-en-Y法再建
,
開腹手術
Keyword:
幽門側胃切除術
,
Roux-en-Y法再建
,
開腹手術
pp.160-162
発行日 2020年10月22日
Published Date 2020/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213135
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縫合糸やデバイスの選択とその理由
幽門側胃切除術後の再建は長らく手縫い吻合が行われていた.しかし現在は,自動縫合器を用いた器械吻合が主流である.手縫い吻合と比較して,器械吻合はコストがかかる欠点がある一方,手術時間が短縮できる,術者の技量によらず均一に吻合できる,などの利点がある.さらに近年,電動ファイアリングシステムを搭載した自動縫合器が開発され,手動に比べて安定したステープリングが可能となった.当院では,幽門側胃切除術後のRoux-en-Y法再建(R-Y再建)には,電動自動縫合器(Powered ECHELON FLEX®またはSigniaTM)を用いている.
吻合後のステープラーの挿入孔は手縫い縫合で閉鎖している.消化管の吻合に際して,吸収性縫合糸と非吸収性縫合糸(絹糸)のどちらを用いるべきかに関しては,かねてより議論されてきた.本邦で行われた手術部位感染(SSI)サーベイランス1)では,大腸手術や肝胆膵手術において,絹糸は吸収性縫合糸と比較してSSI発生割合が高率であることが示されたが,多施設共同ランダム化第Ⅱ相試験2)の結果では差がなかった.当院では,消化管吻合には合成吸収性モノフィラメント(4-0 PDS)を使用しているが,最適な縫合糸の結論は出ていない.
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