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はじめに
膵・胆道系疾患の診断には画像評価が重要であり,症状,血液データからこれらの疾患が疑われた場合はUSをはじめとしてCT,MRIによる画像検査を行い,必要に応じてEUSでの精査を行う場合が多い。その結果,膵胆管の狭窄や腫瘤性病変など悪性疾患が疑われる場合,病理学的検査による良・悪性の鑑別が必要となる。胆道系疾患に関しては画像検査によって胆管狭窄や胆管壁肥厚などが描出された場合,悪性疾患を鑑別する目的で病理学的検査としてERCPおよび胆汁細胞診や胆管生検が行われる。胆汁細胞診は単回では診断率が低く,内視鏡的経鼻胆道ドレナージ(ENBD)留置による複数回の胆汁細胞診や胆道狭窄に対する擦過細胞診,透視下の胆管生検が行われることが多い。また,病変の表層進展度評価に対して経口胆道鏡(POCS)による観察を行い,直視下に生検をする方法も選択肢の一つである。腫瘤性病変やリンパ節転移を疑い穿刺ルートが確保できる場合はEUS-FNAによる細胞・組織診断も考慮する。膵疾患に関しては,画像診断の発達により膵腫瘍の診断精度は向上しており,特にEUSは高い空間分解能をもち,小型な膵腫瘤の描出にも有用とされる1)。膵に明らかな腫瘤性病変を認めた場合はEUS-FNAによる病理診断が検討される。その一方で,上皮内癌を含む微小な膵癌では,画像検査で腫瘤を伴わない膵管狭窄として描出され,EUSでも腫瘤を指摘することが困難な場合があり,ERCPを併用した膵液細胞診の有用性が報告されている2)。2019年に改訂された「膵癌診療ガイドライン」では腫瘤を認めないが膵癌を否定できない膵管狭窄に対して,ERCPでの膵液細胞診の施行が提案された3)。本稿では当院での実際の手技を中心に,膵・胆道系疾患における経乳頭的生検・細胞診について概説する。
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