特集 良悪性肝門部胆管狭窄への内視鏡的アプローチ
1.肝門部胆管狭窄の診断ストラテジー
石田 祐介
1
,
土屋 直壮
1
,
古賀 毅彦
1
,
松元 慶亮
1
,
福山 真
1
,
平井 郁仁
1
1福岡大学医学部消化器内科学講座
キーワード:
肝門部領域胆管癌
,
良性胆道狭窄
,
ERCP
,
EUS
,
胆汁細胞診
Keyword:
肝門部領域胆管癌
,
良性胆道狭窄
,
ERCP
,
EUS
,
胆汁細胞診
pp.1601-1610
発行日 2024年11月20日
Published Date 2024/11/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000003283
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肝門部胆管狭窄をきたす疾患は多岐にわたり,肝門部領域胆管癌・胆囊癌の肝門部浸潤・原発性硬化性胆管炎・IgG4関連硬化性胆管炎・肝移植や胆管損傷に伴う医原性胆管狭窄などが挙げられる.これら良悪性の鑑別診断を行うとともに,肝門部領域胆管癌の場合には術式決定のため進展範囲診断も必要となる.このため多くの検査モダリティが必要となるが,侵襲の強い検査も含まれることから,必要な検査方法を取捨選択することが検査に伴う合併症の低減と診断の効率化に繫がる.閉塞性黄疸を合併する症例が多く胆道ドレナージが必要となるが,ステント留置は胆管像に影響を与えるため,胆道ドレナージ前に造影CTなどを施行することも重要である.EUS/IDUSでは胆管壁の内側低エコー層・外側高エコー層を捉えることで範囲診断に有用な情報をもたらすが,良悪性の鑑別診断には限界がある.ERCPは特徴的な所見を捉えることで範囲診断のみならず良悪性の鑑別診断にも有用であり,細胞診・組織診検体の採取も可能である.しかし胆管病変の細胞診・組織診は高い特異度を誇るが感度は満足のいくものではなく,その診断能向上のためには適切な検体採取および処理と病理医への情報提供が重要である.各種画像診断,細胞診・組織診を組み合わせた総合的な判断が求められる.
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