特集 膵癌の早期診断 ―診療ガイドラインの改訂を踏まえて
5.Stage 0,ⅠA膵癌の診断と治療(5)ERCPおよび膵液細胞診の役割
芹川 正浩
1
,
石井 康隆
1
,
壷井 智史
1
,
中村 真也
1
,
池本 珠莉
1
,
岡 志郎
1
1広島大学病院消化器内科
キーワード:
膵癌早期診断
,
ERCP
,
膵液細胞診
,
擦過細胞診
,
SPACE
Keyword:
膵癌早期診断
,
ERCP
,
膵液細胞診
,
擦過細胞診
,
SPACE
pp.189-194
発行日 2023年1月20日
Published Date 2023/1/20
DOI https://doi.org/10.19020/CG.0000002513
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膵癌の5年生存率はきわめて不良であるが,腫瘍径10 mm未満の小膵癌では比較的予後が良好であることが示され,Stage 0,ⅠAが膵癌早期診断の一つの目安となった.近年,膵上皮内癌の診断における内視鏡的経鼻膵管ドレナージ(ENPD)留置下複数回連続膵液細胞診(SPACE)の有用性が多数報告され,膵癌早期診断において内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)の果たす役割はきわめて大きくなっている.膵癌の病理診断を適切に行うためには,超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引法(EUS-FNA)とERCP下膵液細胞診をうまく使い分ける必要がある.腫瘤のある場合にはEUS-FNA,腫瘤のない場合にはERCP下膵液細胞診が有用であり,腫瘤径に応じた病理診断法の選択が重要となる.また小型の腫瘤に対してはEUS-FNA,ERCP下膵液細胞診ともに有用である可能性が示唆され,適切な病理診断には両者を併用した相互補完という考え方が求められる.
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