胆道生検および胆汁細胞診の遺伝子解析による早期胆嚢癌診断の現況

Usefulness of Genetic Analysis in Biopsy Specimens and Bile from Biliary Tract Cancers

　胆道生検と胆汁細胞診の診断能および，これらの材料に対する遺伝子解析（p53,K-rasコドン12，テロメラーゼ活性）の成績について検討した．胆嚢癌からの生検にてGroup Vは82％（9／11），胆汁細胞診ではClass Vは68％（17／25）に認めた．生検組織におけるp53遺伝子変異は胆嚢癌の50％（2／4），p53蛋白過剰発現は67％（4／6），K-ras変異は25％（1／4）に認めた．胆汁中のp53変異は胆嚢癌の43％（3／7），K-ras変異は57％（4／7）に認めた．生検組織におけるテロメラーゼ活性はteromelic repeat amplification protocol：TRAP法で胆嚢癌の67％（2／3），胆汁中では50％（1／2）に認めたのに対し，in situ TRAP法では胆汁中の100％（2／2）に認めた．生検および胆汁の遺伝子解析は従来の病理診断の客観的，補助的診断として有用であり，胆嚢癌診断の一助になりうる可能性が示唆された．