特集 胃癌診療のパラダイムシフト
診断面のパラダイムシフト 胃がん検診の大改革
赤松 泰次
1
,
下平 和久
,
宮島 正行
,
植原 啓之
,
小山 みずき
,
木畑 穣
1長野県立病院機構長野県立信州医療センター 内視鏡センター
キーワード:
ヘリコバクター感染症
,
Helicobacter pylori
,
Penicillins
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
学校保健
,
細菌抗体
,
集団検診
,
多剤併用療法
,
人間ドック
,
薬疹
,
腹部X線診断
,
Clarithromycin
,
リスク評価
,
Proton Pump Inhibitors
,
除菌療法
,
Vonoprazan
,
クラリスロマイシン耐性
Keyword:
Antibodies, Bacterial
,
Drug Therapy, Combination
,
Stomach Neoplasms
,
Mass Screening
,
Multiphasic Screening
,
Clarithromycin
,
Gastroscopy
,
Risk Assessment
,
Helicobacter pylori
,
Helicobacter Infections
,
Penicillins
,
Drug Eruptions
,
School Health Services
,
Radiography, Abdominal
,
Proton Pump Inhibitors
,
1-(5-(2-fluorophenyl)-1-(pyridin-3-ylsulfonyl)-1H-pyrrol-3-yl)-N-methylmethanamine
pp.1135-1141
発行日 2021年7月25日
Published Date 2021/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2021295046
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対策型胃がん検診は従来胃X線検査を中心に行われてきたが、最近内視鏡による対策型胃がん検診が正式に認められ、全国的に普及しつつある。地域における内視鏡件数のキャパシティや二次読影制度の構築というハードルはあるが、胃癌発見率はX線検診の6~7倍以上と良好で、食道癌も稀ならず発見される。近年、血清pepsinogen法と血清抗H.pylori抗体検査を用いた胃癌リスク層別化検診(ABC検診)による効率的な胃検診が一部の地域で行われている。しかし、胃癌リスクが低いA群にそれ以外の群が混入したり、胃癌死亡率低下効果のエビデンスが不足したりしているため、現時点では対策型胃がん検診の方法として正式に認められていない。未成年者に対するH.pylori感染症対策として、H.pyloriスクリーニングを学校検診に導入することが模索されているが、除菌治療を行う適切な年齢や使用する薬剤に関して議論がある。中高年者は効率的な胃癌の二次予防を、若年者はH.pylori感染対策による一次予防を行うことにより、近い将来本邦の胃癌撲滅の実現が期待される。
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