特集 酸分泌抑制薬の功罪
胃 PPI長期投与と胃カルチノイド
古田 隆久
1
,
山出 美穂子
,
鏡 卓馬
,
鈴木 崇弘
,
樋口 友洋
,
谷 伸也
,
魚谷 貴洋
,
鈴木 聡
,
岩泉 守哉
,
濱屋 寧
,
大澤 恵
,
杉本 健
1浜松医科大学医学部附属病院 臨床研究センター
キーワード:
カルチノイド腫瘍
,
Gastrins
,
胃鏡法
,
胃腫瘍
,
ECL細胞
,
Proton Pump Inhibitors
,
Vonoprazan
,
高ガストリン血症
,
長期投与
Keyword:
Enterochromaffin-like Cells
,
Carcinoid Tumor
,
Stomach Neoplasms
,
Gastrins
,
Gastroscopy
,
Proton Pump Inhibitors
,
1-(5-(2-fluorophenyl)-1-(pyridin-3-ylsulfonyl)-1H-pyrrol-3-yl)-N-methylmethanamine
pp.1158-1165
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376635
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プロトンポンプ阻害薬(PPI)やカリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)であるボノプラザン(VPZ)を投与すると血清ガストリン値が上昇し、それが腸クロム親和性細胞様細胞(ECL細胞)に作用してECL細胞の過形成、さらには、カルチノイドが発生する機序が考えられている。実際、PPIの長期投与によってECL細胞の密度が上昇する。そして胃のカルチノイド発生の報告もあるが、その頻度は低いと考えられる。胃にカルチノイドの発生した症例は、PPIが3年以上の長期にわたり投与されて血清ガストリン値が上昇した場合である。したがって、ガストリンを測定せずに胃酸分泌抑制薬を漫然と投与することを控えることが肝要である。また、定期的な内視鏡検査による胃粘膜の評価が必要である。
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