特集 酸分泌抑制薬の功罪
食道 食道胃接合部ポリープの臨床的検討 酸分泌抑制薬によってポリープは消えるのか
貝瀬 満
1
,
松井 啓
,
吉行 俊郎
,
小泉 英里子
,
桐田 久美子
,
野田 哲人
,
樋口 和寿
,
恩田 毅
,
飽本 哲兵
,
後藤 修
,
岩切 勝彦
1日本医科大学 消化器内科学
キーワード:
胃疾患
,
胃食道逆流
,
食道胃接合部
,
食道疾患
,
制酸剤
,
消化管内視鏡法
,
ポリープ
,
Rabeprazole
,
発癌
,
びらん
Keyword:
Stomach Diseases
,
Esophageal Diseases
,
Esophagogastric Junction
,
Gastroesophageal Reflux
,
Endoscopy, Gastrointestinal
,
Polyps
,
Antacids
,
Rabeprazole
,
Carcinogenesis
pp.1148-1156
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376634
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食道胃接合部ポリープを「食道胃接合部(食道胃接合部上下2cm)に存在するポリープ」と定義し、病理所見と酸逆流所見(びらん性食道炎、1cm以上のBarrett食道)の有無によって、(1)酸逆流合併円柱上皮型、(2)酸逆流非合併円柱上皮型、(3)酸逆流合併扁平上皮型、(4)酸逆流非合併扁平上皮型、に分類した。食道胃接合部ポリープの約7割が酸逆流所見を合併し、ポリープは酸分泌抑制薬で消失してBarrett食道に置換された。酸逆流合併型は「Barrett食道粘膜由来ポリープ」ともいえる。一方、酸逆流非合併型にはHelicobacter pylori関連過形成性ポリープや乳頭腫(ヒトパピローマウイルス関連)などがあり、酸分泌抑制薬によるポリープ消失は期待できない。Barrett食道腺癌には食道胃接合部ポリープ類似型があるが、食道胃接合部ポリープの癌化例を筆者らは経験していない。食道胃接合部ポリープ類似型癌は酸分泌抑制薬で縮小する症例があり、酸逆流による炎症の関与が推定される。
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