特集 酸分泌抑制薬の功罪
PPI長期投与で懸念される副作用
今枝 博之
1
,
都築 義和
,
宮口 和也
,
芦谷 啓吾
,
松本 悠
,
塩味 里恵
,
山岡 稔
,
大庫 秀樹
,
中元 秀友
1埼玉医科大学 消化管内科
キーワード:
カルチノイド腫瘍
,
胃腫瘍
,
肝性脳症
,
吸収不良症候群
,
骨折
,
骨粗鬆症
,
細菌感染症
,
腎炎-間質性
,
大腸腫瘍
,
認知症
,
腸疾患
,
腹膜炎
,
心筋虚血
,
肺炎-細菌性
,
脳卒中
,
Proton Pump Inhibitors
,
慢性腎臓病
,
Imerslund-Graesbeck症候群
,
長期投与
Keyword:
Carcinoid Tumor
,
Bacterial Infections
,
Colorectal Neoplasms
,
Hepatic Encephalopathy
,
Stomach Neoplasms
,
Nephritis, Interstitial
,
Dementia
,
Pneumonia, Bacterial
,
Myocardial Ischemia
,
Intestinal Diseases
,
Osteoporosis
,
Peritonitis
,
Malabsorption Syndromes
,
Stroke
,
Proton Pump Inhibitors
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Fractures, Bone
,
Imerslund-Grasbeck Syndrome
pp.1098-1105
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376630
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
プロトンポンプ阻害薬(PPI)は広く普及しており、胃食道逆流症や低用量アスピリン・非ステロイド性抗炎症薬による胃潰瘍・十二指腸潰瘍の再発予防に対して長期間投与することも多い。PPIの長期間服用によりさまざまな疾患や病態との関連性が報告されている。PPIの長期服用による副作用の多くはPPIによる直接の傷害のみならず、胃酸分泌抑制による腸内細菌叢の変化、吸収障害、ガストリン分泌亢進、代謝経路の競合による他剤への影響などが関与して惹起されると考えられる。高齢者や併存疾患を有する患者ほどPPIを投与される機会が多いが、さまざまな因子の関与があるため、データのみをうのみにして副作用を懸念するあまりPPIを中止することは、PPIが必要な患者に逆に不利益となることもある。臨床の現場ではPPIの必要性と最小限の投与量および投与期間について、患者ごとに検討することが望ましい。
Copyright© 2020 tokyo-igakusha.co.jp. All rights reserved.