特集 表在性十二指腸腫瘍の新展開
表在性十二指腸腫瘍の低侵襲治療 表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍に対する縮小手術の可能性
阿部 展次
1
,
鶴見 賢直
,
橋本 佳和
,
大木 亜津子
,
竹内 弘久
,
長尾 玄
,
鈴木 裕
,
阪本 良弘
,
須並 英二
,
正木 忠彦
,
森 俊幸
1杏林大学 医学部消化器・一般外科
キーワード:
十二指腸鏡法
,
十二指腸腫瘍
,
上皮内癌
,
腺腫
,
腹腔鏡法
,
小腸切除
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Carcinoma in Situ
,
Duodenal Neoplasms
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Adenoma
,
Laparoscopy
,
Duodenoscopy
pp.1095-1099
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019334155
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表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍には腺腫や腺癌、神経内分泌腫瘍などが含まれるが、本稿では腺腫や粘膜下層浸潤までの腺癌を表在性非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍とし、これらに対する縮小手術の可能性について概説する。粘膜に限局する癌ではリンパ節転移をきたすことはきわめて稀とされ、腺腫と同様の局所切除)内視鏡的あるいは外科的切除)で治療が完結する。十二指腸腫瘍に対する外科的切除法には、根治術とされる膵頭十二指腸切除術の他に各種縮小手術があり、内視鏡的切除が困難な腺腫や粘膜内癌には可能なかぎり縮小手術を適用すべきである。一方、粘膜下層浸潤癌ではリンパ節転移が否定できないため、膵頭十二指腸切除術が第一選択となる。十二指腸の縮小手術法には、経十二夕腸的切除術(±乳頭切除)、全層部分切除術、十二指腸切除術(胃切除併施や膵温存術式を含む)、十二指腸分節切除術(膵温存術式を含む)、ESD+漿膜側補強縫合などがあり、いずれも腹腔鏡によるアプローチが可能である。しかし、上皮性腫瘍を対象とした場合、腫瘍学的観点から、腹腔内で十二指腸管腔を開放しない、あるいは、開放した場合は腫瘍面を鉗子で把持しない、腫瘍面を他臓器に接触させない、などの工夫は必須であろう。そのような観点からは、筆者らが行ってきた腹腔鏡補助下アプローチや、ESD+腹腔鏡下漿膜側補強縫合は、理にかなった縮小手術と考えられる。多くの腺腫・粘膜内癌はこれら縮小手術で治療可能であり、膵頭十二指腸切除術が必要が局面は少ない。
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