特集 表在性十二指腸腫瘍の新展開
表在性十二指腸腫瘍の低侵襲治療 D-LECSの現状と今後の可能性
李 基成
1
,
布部 創也
,
比企 直樹
1がん研有明病院 消化器外科
キーワード:
十二指腸腫瘍
,
腹腔鏡法
,
治療成績
,
小腸切除
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
Keyword:
Duodenal Neoplasms
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Treatment Outcome
,
Laparoscopy
pp.1090-1094
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019334154
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リンパ節転移のない上皮性十二指腸腫瘍(腺腫・粘膜内癌)は局所切除の適応となるが、いまだ確立された治療法はない。従来の内視鏡的粘膜切除と比べて高い治癒切除率を利点とする内視鏡的粘膜下層剥離術は技術的に難易度が高く、術中・遅発性穿孔や後出血のリスクが懸念される。一方で、昨今の腹腔鏡手術の進歩を考えると、早期病変に対する開腹手術での局所切除はいささか過大侵襲である感が否めない。そこで、胃粘膜下腫瘍に対する標準治療として確立されつつある腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)を十二指腸腫瘍に応用したD-LECSが新たな治療法として期待されている。最近では単施設での報告が散見されるようになり、D-LECSを導入する施設が増えてきている現状が伺える。D-LECSの手技としては、技術的・腫瘍学的側面を考慮するとESD+漿膜筋層縫合が望ましいと自験例より考えられるが、さらなる症例の蓄積が必要であろう。また、多施設後ろ向き研究によってD-LECSの現状が明らかにされ、近い将来にD-LECSの保険収載が期待される。
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