特集 表在性十二指腸腫瘍の新展開
表在性十二指腸腫瘍の低侵襲治療 術後偶発症予防における術後縫縮の意義
加藤 元彦
1
,
水谷 真理
,
堤 康志郎
,
飽本 哲兵
,
木口 賀之
,
佐々木 基
,
中山 敦史
,
前畑 忠輝
,
落合 康利
,
矢作 直久
1慶應義塾大学医学部附属病院 腫瘍センター
キーワード:
十二指腸鏡法
,
十二指腸腫瘍
,
術後合併症
,
腸穿孔
,
縫合法
,
出血-術後
,
治療成績
,
内視鏡的粘膜下層剥離術
,
外科用固定用品
,
スネア
Keyword:
Duodenal Neoplasms
,
Endoscopic Mucosal Resection
,
Treatment Outcome
,
Postoperative Hemorrhage
,
Intestinal Perforation
,
Postoperative Complications
,
Duodenoscopy
,
Suture Techniques
,
Surgical Fixation Devices
pp.1075-1081
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019334151
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十二指腸上皮性腫瘍に対するESDは、胆汁・膵液の曝露により遅発性偶発症のリスクが高いことが知られている。筆者らの施設では、上十二指腸角より肛門側の病変に対するESD後の粘膜欠損部を、クリップによる単純縫縮、留置スネア併用による縫縮、糸付きクリップ法などで可及的に完全縫縮することで偶発症の予防を図っている。実際に十二指腸ESDを施行した173例を後ろ向きに検討したところ、粘膜欠損部の完全縫縮は、多変量解析でオッズ比0.055(95%CI0.010~0.29、p<0.01)と約95%の遅発性偶発症のリスク減少がみられ、入院中の炎症反応や入院期間などの臨床経過も完全縫縮群で良好であった。また、内視鏡の操作性が制限されたり、乳頭との位置が近くなる可能性のある周在性の大きい病変では完全縫縮が難しくなることがあるため、ポリグリコール酸シートの貼付や胆管・膵管外瘻術など他の方法と組み合わせる必要がある。
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