特集 表在性十二指腸腫瘍の新展開
非乳頭部十二指腸腺腫の自然経過
神崎 洋光
1
,
河原 祥朗
,
岡田 裕之
1岡山大学 大学院医歯薬学総合研究科消化器・肝臓内科
キーワード:
十二指腸鏡法
,
十二指腸腫瘍
,
生検
,
腺腫
Keyword:
Biopsy
,
Duodenal Neoplasms
,
Adenoma
,
Duodenoscopy
pp.992-1001
発行日 2019年7月25日
Published Date 2019/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019334135
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非乳頭部十二指腸上皮性腺腫は腫瘍性病変であり、基本的には切除されることが多いため自然史についての報告は少ない。一方で内視鏡的切除術は合併症として穿孔・遅発穿孔の頻度が高く重篤になりやすいため、高齢者や予後に関与する背景疾患をもつ症例に対しては経過観察も方針の一つと考えられる。本稿では、当院において切除を行わず3年以上の経過観察を行った18例について提示する。腫瘍径が増大した症例が7例(39%)あったが癌化症例は認めなかった。なかには明らかに腫瘍径が増大したものもあるが、多くの症例はわずかな増大であり、小さな病変では経過観察時に生検を繰り返すことで消失するものもあることが経験された。非乳頭部十二指腸上皮性腫瘍に対する新たな治療法の開発により内視鏡的切除術も安全になってきているが、患者の年齢や背景疾患を考慮して経過観察も選択肢となりうると考える。
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