特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
小腸および大腸 NSAIDsおよびLDAによる傷害
渡辺 俊雄
1
,
灘谷 祐二
,
大谷 恒史
,
谷川 徹也
,
藤原 靖弘
1大阪市立大学大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
Aspirin
,
潰瘍
,
大腸内視鏡法
,
大腸疾患
,
非ステロイド系抗炎症剤
,
Misoprostol
,
小腸疾患
,
カプセル内視鏡法
,
バルーン小腸内視鏡法
,
小腸潰瘍
,
小腸内視鏡法
Keyword:
Aspirin
,
Balloon Enteroscopy
,
Misoprostol
,
Anti-Inflammatory Agents, Non-Steroidal
,
Colonoscopy
,
Ulcer
,
Capsule Endoscopy
pp.906-911
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312033
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カプセル内視鏡やバルーン内視鏡などの小腸内視鏡を用いた検討により、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が高頻度に小腸傷害を惹起することが明らかになった。また、腸肝循環をしないことなどの薬物動態の特徴から、下部消化管をほとんど傷害しないと考えられていた低用量アスピリン(LDA)も強い小腸傷害性が確認されている。NSAIDsによる小腸傷害は、発赤、びらん、円形あるいは類円形潰瘍、不整形潰瘍、輪状潰瘍など多彩な形態を呈する。粘膜病変は多発傾向があり好発部位はないが、重症病変は遠位回腸に認められる場合が多い。また、頻度は低いがNSAIDs/LDAは大腸にも潰瘍性病変を惹起する。大腸傷害については病態も含めて不明な点が多いが、腎不全などの重篤な合併症がリスク因子になる可能性が示唆されている。安全にNSAIDs/LDAの長期投与を行うためには、下部消化管傷害に対する予防・治療法の確立が必要である。
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