特集 こんなにある薬剤性消化管傷害
胃 炭酸ランタン服用透析患者の胃粘膜病変
鈴木 悠悟
1
,
布袋屋 修
1国家公務員共済組合連合会虎の門病院 消化器内科
キーワード:
胃鏡法
,
胃疾患
,
胃粘膜
,
血液透析
,
腎不全-慢性
,
経口投与
,
高リン酸血症
,
狭帯域光観察
,
Lanthanum Carbonate
Keyword:
Stomach Diseases
,
Renal Dialysis
,
Gastric Mucosa
,
Kidney Failure, Chronic
,
Gastroscopy
,
Administration, Oral
,
Narrow Band Imaging
,
Hyperphosphatemia
,
Lanthanum Carbonate
pp.899-905
発行日 2019年6月25日
Published Date 2019/6/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2019312032
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維持透析患者の高リン血症に対する治療薬である、炭酸ランタンによる消化管病変について概説する。近年、長期の服用を背景に炭酸ランタンが胃・十二指腸粘膜固有層間質に沈着することが報告された。内視鏡所見としては白色微細顆粒状の粘膜を呈することが特徴的であり、NBI拡大観察で窩間部の白色変化がより明瞭に認識できると報告されている。内視鏡検査のみでは診断を確定するのは困難であるため、詳細な服薬歴の聴取や生検組織診断が重要となる。病理組織学的には粘膜固有層に、HE染色で赤褐色を呈する好酸性物質を貪食した組織球の集簇像として認識される。本邦では透析患者数が増加傾向を示しており、スクリーニング内視鏡検査時にも炭酸ランタンの沈着による消化管病変を認識する必要がある。しかし炭酸ランタン沈着症については、現時点でその生体への影響や服用中止後の経過などについて不明なことが多く、今後さらなる検討が必要である。
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