特集 酸分泌抑制薬の功罪
小腸・大腸 PPI投与とアスピリン小腸傷害
渡邉 俊雄
1
,
東森 啓
,
灘谷 祐二
,
大谷 恒史
,
藤原 靖弘
1大阪市立大学 大学院医学研究科消化器内科学
キーワード:
Aspirin
,
Omeprazole
,
Prostaglandins
,
多剤併用療法
,
病勢悪化
,
Lansoprazole
,
Proton Pump Inhibitors
,
小腸疾患
,
カプセル内視鏡法
,
消化管微生物叢
,
Vonoprazan
,
小腸潰瘍
Keyword:
Aspirin
,
Drug Therapy, Combination
,
Omeprazole
,
Gastrointestinal Microbiome
,
Prostaglandins
,
Disease Progression
,
Lansoprazole
,
Proton Pump Inhibitors
,
Capsule Endoscopy
,
1-(5-(2-fluorophenyl)-1-(pyridin-3-ylsulfonyl)-1H-pyrrol-3-yl)-N-methylmethanamine
pp.1191-1195
発行日 2020年8月25日
Published Date 2020/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2020376640
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カプセル内視鏡を用いた検討により、低用量アスピリン(LDA)が高頻度に小腸傷害を惹起することが明らかになった。LDAを含む非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による小腸傷害の機序には、腸内細菌が関与すると想定されている。一方、最近のげっ歯類を用いた検討により、プロトンポンプ阻害薬(PPI)が小腸細菌叢のdysbiosisを惹起し、NSAIDs起因性小腸傷害を増悪させる可能性が示唆されている。実際、PPIの併用によりNSAIDsあるいはLDAによる小腸傷害が増悪したとの臨床研究の結果が複数報告されているが、両者併用の小腸病変に及ぼす影響についてはいまだ結論が得られていない。両者併用の臨床的意義を評価するためには、PPIが出血性潰瘍や狭窄など臨床的重要度の高い小腸病変を増加させるか否かを検討する必要がある。
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