特集 小腸内視鏡が変えた疾患マネージメント
小腸疾患に対するアプローチ
中村 正直
1
,
大宮 直木
,
山村 健史
,
前田 啓子
,
澤田 つな騎
,
石川 恵里
1名古屋大学医学部附属病院 消化器内科
キーワード:
質問紙法
,
消化管出血
,
病歴聴取
,
小腸疾患
,
小腸腫瘍
,
カプセル内視鏡法
,
バルーン小腸内視鏡法
,
小腸潰瘍
,
小腸内視鏡法
,
病態生理
,
パテンシーカプセル
Keyword:
Gastrointestinal Hemorrhage
,
Balloon Enteroscopy
,
Medical History Taking
,
Capsule Endoscopy
pp.1792-1798
発行日 2021年12月25日
Published Date 2021/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/J02312.2022082023
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カプセル内視鏡とバルーン内視鏡の導入によって小腸疾患の病態が明らかとなり、診断能が向上した。現在では日常診療のなかで診断と治療がなされている。しかし依然として発症から診断までに時間がかかることや、診断自体に苦慮することがある。小腸の病態は大きく小腸出血、小腸腫瘍、小腸狭窄、炎症、機能障害のカテゴリーに分けられ、これらは互いにかかわりあって病態が形成されている。その診断に至るためには、まず詳細な問診によって初回検査を検討する。小腸出血はどのカテゴリーとも関係するため広く診断を考える必要があるが、基礎疾患と年齢によりある程度想定疾患をリストアップして診断を進める。小腸腫瘍は悪性リンパ腫、GIST(消化管間質腫瘍)が多いためCTとカプセル内視鏡を初回検査として検討する。炎症性疾患は肉眼形態が類似する疾患が多いため経過も含めて診断する。機能障害は腸管運動異常と蛋白漏出性腸症に大別される。蛋白漏出性腸症は低蛋白血症と糞便中α1-アンチトリプシンクリアランスの上昇、もしくは蛋白漏出シンチグラフィーにより診断を得る。
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